ブックレビュー

和田毅投手(ソフトバンク)について② 著書「だから僕は練習する」ブックレビューとオンライン読書会

前回のブログではソフトバンクホークスの和田毅投手についてご紹介しました。今回は和田投手が書いた本「だから僕は練習する」についてご紹介します。

入団当初から目覚ましい活躍を遂げ、40歳近い今尚現役で活躍する和田毅投手ですが、決して才能に恵まれていた訳ではなく、思考を重ね、怪我に悩みながらも「練習」を積むことで自らを成長させてきました。

和田毅投手の著書「だから僕は練習する」について

ソフトバンクの和田毅投手が2020年2月に自身2冊目となる著書「だから僕は練習する 天才たちに近づくための挑戦」をダイヤモンド社より出版しました。こちらはダイヤモンドオンラインで連載していた「練習について僕が思うこと」を再編集したもののようです。

この本は自称「普通の野球少年」だった和田毅投手が松坂世代と言われる才能あふれる同期のプレイヤーの中で、輝かしい実績を積みながら、現役を続行し続けて来られたかを自ら分析した本です。この本の中で、特に印象に残った部分をご紹介します。

長所のなさを認める姿勢

「人より優れていないこと」が、僕の優れているところ

和田毅投手はあえて自分の優れているところを挙げるならば、「他人より優れていないと自分で認められること」だと語り、そう思えるからこそ、まじめに練習を続け、人からのアドバイスにも素直に耳を傾けられたと語っています。

普通の人間ならば、周りに自分より明らかに優れているライバルがいると、卑屈になってしまったり、諦めてしまったりするように思います。そのような状況でも諦めることなく、「自分に足りないものは何か」を常に考え、謙虚な気持ちで努力を重ねたからこそ結果と実績を積み上げてきた和田毅投手の存在は、私達に大いに勇気を与えてくれます。

練習の目的を考える

いい練習は「目的」×「習慣」で出来ている

執拗に目的を考え、淡々と身体を動かす

和田毅投手はまずは練習を習慣化することと、習慣化するからこそ陥りやすい注意点として、次の点を挙げています。よく練習はウソをつかないと言うけれど、正確には「効果的な練習はウソをつかない」であり、効果的な練習をする為には常にその練習を行う目的をはっきり持つべきだと語っています。

和田毅投手はどんなトレーニングメニューやそれが対戦相手のデータ分析であっても、その目的意識を常に持って取り組んでいるそうです。何をやるにも、それをやる目的を意識するというのはなかなかできるものではありません。

つい「練習」に費やした時間を誇るだけで、肝心の効果が上がらない場合が多いように思いますが、和田毅投手のように、しつこく目的を考えながら、淡々と身体を動かすという姿勢は奥が深いように思いました。

地味に身につけ「再現」できる形にしておく

「できる!」で放置せず、「できる理由」を分解しておく

和田毅投手は自分にはセンスがなかったからこそ、コツコツと地道な努力を続けて技術を身につけたと述べています。

自分の投球フォームについて「チェックすべき重要ポイント」を設けて、自分では気づかないうちにフォームが乱れてしまった時も、それらのチェックポイントを辿りながら、練習すべきポイントを見つけ修正しているそうです。

普通の人間ならば「うまくいった」時は、その事実のみで満足しその状態を分析しようなどとは思わないものです。全体の「うまくいった」感覚だけに注目しがちですが、和田毅投手はなぜうまく行っているのかを分析し、細分化した上で、不調の時もそれらを一つ一つできているかどうか確認しながら、ベストの状態を再現できるよう努めているそうです。

「うまくいった」理由を分析する。その姿勢は普通の人の仕事や勉強の面でも生かせるのでは無いでしょうか。

和田毅投手のマウンド上での集中

僕の場合、マウンドで深く集中できているときには、まずスタンドからの声援やヤジが耳に入らなくなる。視界はより広がる感じで、客観的に自分を見られるだけの冷静さが伴っている。

ー中略ー

ひとたび集中状態に入れば、とても静かな世界にいるような感覚に襲われる。なかでも不思議なのは、味方の内野手からの声のように「必要なこと」だけはちゃんと耳に届くという点だ。

和田毅投手はピッチャーがマウンド上でキャッチャーミットしか見えないような状態はあまり好ましくないと述べています。

和田毅投手が表現したマウンド上での集中した様子は、まるで映画を見ているように、ありありと想像が出来ます。他の選手も同じような感覚の中、プレーしているのか興味があります。

「だから僕は練習する」オンライン読書会に参加しました

和田毅投手は緊急事態宣言期間中の5月17日に「新型コロナチャリティ」特別オンライン読書会として『おうちで読書 with ソフトバンク和田投手「だから僕は練習する」オンライン読書会』を開催しました。

当初は有料開催し、その参加費を寄付する予定でしたが、急遽無料化し、代わりに視聴者数に応じて和田毅投手が寄付をするという形に変更して開催されました。

最初にオンライン読書会の中で和田投手はこの本は野球の本ではなく、いろいろな方に向けての本にしたかったと語っています。

読書会は本の内容に添いながら、和田毅投手が参加者からの質問に答えていくという形で進められました。野球選手以外であれば学校の先生になって母校の浜田高校で野球部の監督になって甲子園に行くつもりだったとエピソードや、モチベーションが下がった時の対処方法として、自分は「何くそ!」「やってやる!」と自分を気持ちで奮い立たせて乗り切っているという話があり、ちょっと意外な感じがしました。

オンライン読書会はYouTubeで公開されています。和田毅投手の誠実で常に前向きな性格が伝わってきますので、ぜひご覧ください。

和田投手のインスタによると、合計1327人がオンライン読書会に参加し、「コロナ給付金寄付プロジェクト」へ寄付をしたそうです。チャリティに熱心な和田投手ですが、その姿勢はファンの尊敬も集めています。

まとめ

いかがでしたか?和田毅投手の著書「だから僕は練習する」は自身が語るように、野球をしている人だけではなく、何かの練習をしている人、会社で部下を育てる立場にある人など、様々な人が伸び悩んだ時や問題を抱えたときに参考に出来るヒントがたくさんある本です。

副題に「天才たちに近づくための挑戦」とあるように、才能に恵まれていなくても常に考えながら、目的を持って練習していけば、素晴らしい結果を生み出せるという希望が持てる本ですので、是非手に取って読んでいただければ嬉しいです。